昼と夜

仕事中に体験したことを書いておこうと思う。 私の仕事は所謂警備員であり、朝夜問わずシフト制で仕事がある。現場は固定ではなく各場所に派遣され、その場所に沿ったルールややり方での作業を求められる少し面倒な仕事である。 そんな日々の中で、夜間に物音や人影を見ることはザラであり普段から塩やお守りを携帯しているためさほど恐怖を感じる事態にはならないのだが、とある現場だけは絶対に回してくれるなと懇願するところがある。 それは、関西の某スーパーだ。ここだけは二度と行かないと会社へ念押ししている。何故なら、次に行けば確実に私の精神は崩壊するからだ。 その現場へ私が入ったのは、警備員の仕事を始めて半年くらいのことだ。まだ先輩と派遣される場所ばかりで退屈していた事もあり、昼間に決められた巡回ルートから少し外れた所を歩いてみた。すると、何故か気になる扉がある。ただのドアなのだが不思議と開けてみたくなる。勿論巡回中ということもあり、開けはしなかった。 数日後今度は夜間ににそこへ行くと、前回気になっていた扉を調べてみるかとやって来た。するとその扉は開いており、奥から何か響いてくる。人のくぐもった声なのか、それは聞き触りの悪い音で嫌な感覚が押し寄せてくる。これ以上は聞いてはいけないとその場を後にしようとしたが、その場に背を向けたら何者かに襲われる、そんな気がして動けないでいると先輩が遅い私を迎えにやって来てくれた。そうすると不思議なことに身体は動きそのまま先輩と詰所に戻ることが出来た。 先輩曰く、その扉は普段…

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交換者

仕事の為に毎日通う駅、その駅で起こった不思議な出来事を書いてみたい。 それは週末の金曜日、終電とまではいかなくとも遅めの時間の電車で駅に着き帰宅しようとスマホの画面を眺めながらホームを歩いていると、視界の端にチラチラと人影が映る。同じ電車を降りた人なのかと気にしていなかったが、改札への階段を昇ろうとした時不意にその影が前に来たかと思うと、その影にぶつかってしまった。 ここで頭を上げ謝ろうとしたのだが、接触した筈の人影は無く首を傾げて階段を登っていった。すると妙なことに階段を踏みしめる感触が普段と違う。言葉で表すと難しいが、感覚的には雨でぬかるんでいる泥の上を歩いている様な踏み心地であった。 雨も降っていないし不思議な感触ながらもスマホを見ながら歩く私は綺麗な階段でその感触も疲れから来ているのだろうと流していた。そして階段を登りきったとき、普通なら見知った広筈の改札口は無く見知らぬ駅名、改札口がそこにはあった。 ここで私も事態に気付きスマホをポケットに入れると元来た階段を戻った。ここで進むと戻ることが出来なくなりそうで、必死に駆け降りた。そうして階段の終わりに何もないところで肩がぶつかる衝撃を受けたかと思うと、そこは見知ったホームであり振り返るといつもの階段がそこにはあった。 夢か幻か分からないものの、今度はと階段を昇ろうと足を一歩踏み出した瞬間、私の背後から囁く様に、こう声を掛けられた。 「次は、代わってもらうから」

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